秋晴れの体育祭にてひと際目立つぽっちゃり女子二人が真剣な表情で睨み合っていた。
「こ~んなぶっくぶくのお腹で私に勝てると思ってる訳!?」
「そんなのやってみないと分かんないよ!それにそっちだってもう人のこと言えるような体型じゃないじゃん!」
普段は仲の良い彼女たちだが、今日ばかりはなぜか険悪な雰囲気だ。見物人たちは何が起こっているのか理解できずただ遠巻きに眺めていた。そのとき、騒ぎを聞きつけた友人の彩が間に入った。
「2人ともやめなよ!なんでケンカしてるの?」
「それは…」
と言いかけたところでもう一方の女子が口火を切る。
「勝った方がカズに焼肉食べ放題を奢ってもらえるんだもん!」
「え、カズ?」
と彩が驚く中、ちょうど幼馴染のカズが現れた。
「おいおい、どうしたんだよ二人とも!なんでそんなに怒ってるんだ?」
「あんたが奢るって言ったから宣戦布告してるだけよ!」
「そう!だから邪魔しないで!」
カズは一瞬呆然とし、すぐに笑い出した。
「いや、ちょっと待てって。俺はただ、お前たちが体育祭嫌がってたから少しでも頑張ってくれるようにと思って発破をかけただけで……初めから両方に奢るつもりだったんだよ」
「それならそう言ってよ!」
二人は同時に叫び、今度はカズの体へ息ぴったりに腹を押し当てる。
「わ、悪かった!だから早く離れろ!」
こうして、喧嘩はあっけなく終わり、彼女たちは手を取り合って自分たちの競技に向かった。その後ろ姿を見つめるカズと彩はため息をつきつぶやいた。
「まぁ、どっちにしてもカズの財布は瘦せちゃうね」
「そうだな………」
#ぽっちゃり #むちむち